夜の街/砂
れて
死にかけている薄汚れた浮浪者を抱きしめてやれ
降り注ぐ紫色の灰が目に入って
真実が見えなくなる前に
君は天に向かって呪いの言葉を吐く
脱脂粉乳で出来た月の光では
この街の腐敗を浄化することは出来ない
君はやがて夜の街の眼球を見つけ出し
点火したダイナマイトを突き刺して
高らかに笑うのだ
夜の街が軋む
紫色の煙を上げながら
夜の街が壊れてゆく
君は高笑いしながら
崩れてゆく自分の体と共に
崩れてゆく夜の街を見つめる
あれほど憎んだ夜の街に君は今
千の肉塊となり飛び散ることで復讐する
君の耳に届いただろうか
夜の街が最後に歌ったのは子守唄だった
生ぬるい春の風がやんだ
紫色の灰はもう二度と降ってはこない
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