モノトーン/薬堂氷太
 
 思い出にふけった あの海に似ている

この情景は

私の 召しいた瞳には

白と 黒が 混沌のように入り混じる

灰色の死んだ海にしか 見えぬ


もう 色彩に溢れた あの柔らかい光の降り注ぐ

記憶の片隅にしかない 嘗ての海には

二度と 出会えぬ 後悔が

まるで 天使と 悪魔が 囁くが如く

私の脆い心を 槍で劈く


そんな風に 歪んだ考えの 心ごと

その何も知らぬ 無垢で 澄み切った瞳で

いっそ 私を 殺すがいい

若者よ













戻る   Point(3)