試 み 6/るか
こころが
すけて しまえばいい
こころが すけて
どこまでも
ひろがって
うみのうえの
空 に かえる
しんでしまう ほど
すきとおって しまえば
いい
{引用=
わたしたちは様々な幻想の力を借りて生きていて、愛や平和といった幻想もまた然りである。ほんとうはどこにも平和などない、壁一枚隔てた隣室では陰惨な殺人が犯されていても何ら奇妙な話でもなく、死は自然とあたりに転がっている。ただその事実から眼をそらすことで、辛うじてわたしたちの意識は保たれているにすぎない。殺伐とした感性についてわたしは触れなくてはならないだろう。たとえば、海について。わたしたちの海はのどかな叙景
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