春の機械/木屋 亞万
年をまたいでこの冬はずっと鉄の仮面を被っていた
ネット通販を利用して、海外の鉄の街から送ってもらったものだ
ちょっとした防寒具にもなるし、ヘルメット代わりにもなった
けれど街で知り合いにあっても気付いてもらえず、
その狂人的な風貌のせいで知り合いの数自体も減ってしまった
(狂人ファッションという流行を知らない人も多い)
最近は腰に差している刀を見ても、誰も怯えなくなったので
(刀は差し始めて半年といったところだ)
そのうち鉄の仮面にもみんな慣れてくれるだろうという希望を持っている
昨年から愛読している季刊誌『機械』の春号が一昨日ついに届いた
付録についてきたテントウ
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