俺のアッパー・カットはすごく下から/ホロウ・シカエルボク
車体を軋ませながら
ショッピングモールの駐車場の出口をかすめてゆくキャデラック
ハウリン・ウルフが辺りを
ビリビリと揺らすほどに吠えてた
けたたましく鳴きながら
あとを追っていくポメラニアン、誰かの手を離れて
寄生虫みたいに長く首から垂れ下がった赤いリード
末端の小さなリングに
過保護な飼い主の孤独がこびりついてた
昨日生まれた街のあたりで起きたスクーターに乗った男二人組のひったくりのニュース
ぶっちゃけた話俺の兄弟の仕業じゃないかって本気で疑ったぜ
ハング・ファイヤーを口ずさみながら空がクローズする時間帯を眺めている
携帯電話の中の見覚えの
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