[タイムマシン]/東雲 李葉
やり直したいほど執着した過去なんて今まで特に思い付かない。
それなりに成功もして身の丈にあった幸せも手に入れてる。
不満を持つほど今の時代をよく知りもしないし。
やりたいこともやりたくないことも結局同じような内容。
だけど今目の前にタイムマシンが現われたら、
未来なんて全部捨て去って僕はそれに飛び乗るだろう。
例えばそれが意地悪な神様の戯れで、
安い作りのジオラマで愚者を演じさせられているだけでも、
退屈なんて知らなかったあの頃の僕へもう一度、もう一度。
やり直しなんて高尚な行為ではなく、ただずっとそこに居続けたい。
時間の流れも無視して巡る季節に逆らって、
命が老いて尽
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