落下速度/サバオ*
 



視線絡ませて
遠回しな台詞だけで
愛の告白

指先から熱を発する
肩のあたりで甘いタメ息
背中を走る歓喜に目が眩む


五感すべてが癒された箱の中


僕が落ちた始まり
キミは去る
熱情持て余した僕は
キミを想ってひとり遊戯

滑稽さに涙が出た

キミの
桃色に染まった目尻や
眉間に寄せたシワや
紅く濡れた唇やなんかを
見逃しはしなかったんだ


色の着いた液体のせいにしていいから
指を噛ませてあげるから
僕に落ちてよ




道徳的価値観と
古い恋人は
すべてクローゼットの中へ


キミがそうだって
知ってしまったから


ゆっくり
ゆっくり

急いで
ここへおいで



夜の片隅で
キミが落ちるのを
待っているよ




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