落下速度/サバオ*
視線絡ませて
遠回しな台詞だけで
愛の告白
指先から熱を発する
肩のあたりで甘いタメ息
背中を走る歓喜に目が眩む
五感すべてが癒された箱の中
僕が落ちた始まり
キミは去る
熱情持て余した僕は
キミを想ってひとり遊戯
滑稽さに涙が出た
キミの
桃色に染まった目尻や
眉間に寄せたシワや
紅く濡れた唇やなんかを
見逃しはしなかったんだ
色の着いた液体のせいにしていいから
指を噛ませてあげるから
僕に落ちてよ
*
道徳的価値観と
古い恋人は
すべてクローゼットの中へ
キミがそうだって
知ってしまったから
ゆっくり
ゆっくり
急いで
ここへおいで
夜の片隅で
キミが落ちるのを
待っているよ
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