あなたがもえる/長押 新
 


土手にのびる枯れ草を
焼いている
斜めにあがった太陽が
息をしている
薄い黄金色して
狐の尾のように揺れる
ちぎれちぎれに草が
もえている

風がやむ
眠りにつくよう
しいたげられて
春はいよいよ
近づきはじめた
あそこの山の
山のあなたが
もえている
昼間にはもっと
背のたかい木々さえ
焼いている
太陽がお天道様に
かわっていく

弱った茎に
虫がとまっている
その睫毛に似た細い足が
私の心臓までをも
捉えている
枯れた草に
私の足音が染み込む
もえている
戻る   Point(2)