わたくし/大木円盤
私の時間が止まってしまった
というよりもむしろ形而上化され
本体とは無関係な資質に変貌を遂げ
つかみ所のない形式へと移行していった
つまり世界は
わたくしという凡庸な形骸を連れ立ち
そこには愚劣であり哀れで滑稽な
わたくしと云う存在の本質だけを
実時間へ幽閉したのだ
私の祈りは
既にその対象者を失い
生ける亡者のように
この世界を彷徨い続けている
姿無き醜態をさらし続け
その擬態化された形状は
人の世の臨界点において
かろうじてその輪郭を
保っている
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