魔窟/アングラ少女
(一つの遊星から覗かれない花嫁の髪の空洞)
花ざかりの森の神秘を研究する記帳の桝目が不足する
躓きたい意思の上で青空が焚きあがるまで
あたしは何も口にしたくない
牆のさきの道を躄るがんぜない花嫁の落す涙の溜りから
つぎつぎ飛立つ蛾に囲繞され蓑男は往ってしまう
友の因縁した像が哂う霊園へ
「とっておきの失恋歌をつくりたい」
夏の素材が出揃わない友の像をなでるとき
つかのまの悲哀
押花が沈む山襞から心凄い花嫁の疾走!
あたしが口にしているものは何でも喰う
はみだしもの餓えるもの
隠れているのではない戸棚のなかの姥
しまいわすれた父
産湯に浸ったままの嬰児
彫琢する棹
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