実る/かんな
 
、涙がこぼれる
怒りや
罵りや
憎しみでは何も育ってゆかないと


足を引きずり
思うように体が動かなくなった
祖父は見つめている
壮大な農園に実る果物か
それとも
家から出ていった家族の面影か
そのひと際ちいさくなった
背中越しに
わたしも
将来を見つめている


おじいちゃん

今日、お父さんと一緒に植えた
ちいさなちいさな苗は
きっと
絆という根っこをはり
あの門をこえて
伸びてゆくよ
そして
いつかおとずれる秋には
ゆっくり、ゆっくりと
家族が実ってゆく
だからその時は
あなたの顔にも
笑みが咲き誇りますように


戻る   Point(7)