誰かの手/umineko
 
久々に故郷に帰った。ちょっと遅れたけど、お墓参りとか。もうちょっとで名前の消
えるまち。単位を少なくした方が、管理は楽だよ。それだけのことに振り回されて。

中央とのつながりを持てない小さな単位が、そうやって息を引き取るんだ。私はそれ
を見ながら、ただじっとしている。街も村も年老いていく。見つめる手のように。

通り雨がばらばらと、庭の草をたたいた。からっぽの物干ざおが、小さく鳴った。

あと何度、ここに降り立つのだろう。わからない。

  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *

お墓参り、というのは不思議な習わしだ。もちろん、そこに「死」がたたずんでい
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