88鍵のためのエチュード/天地無用/海里
 
地球の海が
初めて澄んだときのことを覚えている
水色はフォーレルの一番

それからまた
スノーボールになったり
ノースポール咲かせたり
命のスープの花束
幾つも束ねて

雨上がり
まだ濡れているアスファルトの下を
樹の下隠り往く水の音

今までとこれからと
遠回りであろうとなかろうと気にもせず
海へ海へ

いつかの恩返しをしようと
人の姿で現れた詩人は
ほんとうは最初から詩人でいればよかったのです
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