雨をスケッチする/コーリャ
 

無限小と無限大とよばれる番いがちょうちょを啄ばんでいる
雨上がりはまだ地平のむこうにひそんでいる
くちばしにこびりついた燐粉が死んでしまった!を水煙で香るが
雨だれの音楽葬でさようならする
16ビートでさようなら

ディスプレイされる剥製のコーラに
くぎ付けられたストローは
かつて真白で
真直ぐだった
そういった足をした老女は
泥の溜まりを破壊している
ゆらゆらとないがしろにされながら
着地した傘は仰向け
雨水をさえぎるどころか
雨量を加速させる傘下

オナジマイマイの甲殻の渦は
巻き戻した日々の数と等しい
あまり雨天をリフレインすると
触覚のさきから樹
[次のページ]
戻る   Point(7)