常冬/
木立 悟
昇り降りる明るい雨の
降り降りる間に 降り昇る間に
人のかたちにまたたく鏡へ
灰と花は訪れる
壁に窓はなく
窓の絵があり
鈴の溝の午後
空はすぎる
時の鍵の羽
はばたかず まわらず
めぐるものらをかえりみず
咲き急ぎただ散り急ぎ
鏡は深さを増してゆく
影の群れが群れを成し
片方のからだをすぎてゆく
まばたき
羽の目
空の継ぎ手
光の針を進む舟
渇きの波が岩を洗う
森は影に取り残される
遠く高く
水は光を泳ぎつづける
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