形容詞警報/しろう
 


『開くドアにご注意下さい』に肩を寄せて複線の枕木を数えていると踏切を抜けるたびに警音がして頭から数え直すハメになるが、その猪突猛進警報のおかげで路面電車以外の地上電車は、他の交通に妨げられることなく進むかあるいは妨げられれば責任のほとんどを相手になすりつけることが出来るとするなら、車両を見渡してみるに話し相手のいない乗客のほとんどは、携帯MP3プレイヤーのイヤホンを耳に押し込むかポータブルゲームを鷲掴みしているかケータイを操作するかミニパソコンをタイプするか新聞漫画書籍の絵や文字を追うか睡眠時間にあてるかそれらを複数同時にこなすかのいずれかに分類され、残りの少数は眠ったふりをする以外に警報
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