キリン先生/小川 葉
キリンのように
長い首だったので
保育園の先生を
キリン先生と呼んでいた
心の中でも同じように
お友だちはみな
そう思っていたらしくて
ある日お友だちの誰かが
キリン先生
と、口に出してしまった
キリン先生は
遠い故郷のサバンナを
思い出すかのように
長い首の上の
小さな顔を
子供の小さな背丈の
顔の高さまで下ろして
はじめて間近に見た
キリン先生の目は
透き通って潤んでいた
高すぎて
今まで知らなかったけど
キリン先生は
いつもそんなふうに
泣いているような目で
僕らを楽しませたり
叱ったりしていたのだ
キリン先生が
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