セラビィの世界/
 
6の時セラビィは成功していた
欲しいものがもう思い浮かばない位手に入り
なにをやっても彼に賛辞の声がかかった
世界なんて単純だと思った
見えないものなどないし
誰もが彼を愛した
だけど彼はやっぱり幸福の意味が理解できなかった
彼はどこかで怯えていた
その証拠に夜はよく眠ることができなかったし
怒りっぽかったり
ときどき突然正体不明の動悸に襲われたりした
彼は世界を動かせたのに
でも相変わらず世界は同じところにあった
実は欲しいものを知っていた
手に入らないことも知っていた
触れたい頬はもはや太陽の中だった
それが本当の世界だ


限なく繰り返される朝
そして
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