にくめと論〜嘘ばかりのフーガ〜/キリギリ
て(男を殺せ)
「よそ様にお見せするようなもんじゃないよ」と祖母は言った。
困ったことに。急にどうでもよくなった。
そうだ。だいたいアレだ。朗読会?詩のボクシング?オープンマイクなどに参加し
意気揚々と「聴いてください私の自意識!」などとのたまえる人間はみな異常だ。
きっと往来で恥ずかし気もなく接吻を交わすタイプの人間なのだ。きっと充実した
学校生活の中でスムースに初体験を済ませたタイプの人間なのだ。きっと恋人いない歴に
「年」という単位があることを知らないタイプの人間なのだ。きっと友人はそれほど多くはないけど
親友なら同性、異性を問わずいるタイプの人間なのだ。きっと同情を
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