湯煙のほしぞらに/短角牛
 
ぼくのいなくなったあとのことを

湯煙のほしぞらに語りかけ

実は会話はうわのそらに

あの娘もこの空の下 眠っているのかな なんて考えて


寂しさがこみ上げるかといえば嘘になり

なにも感じないかといえばそうでもなく

まるで湯煙に隠された星々のような

遠い思い出なんてものを細目で探している


そういえば俺は この街で6年間生きてきた


言葉にすると恐ろしく力強い事実と

なにもなかったように温泉に浸かっている現在に

依然としておもしろさを感じながら

湯煙から垣間見えた東の夜空に見つけた星を

寂しそうだと擬人化した


どこをどう探しても

物事の終わりは不完全だった。




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