鮮やかな薔薇が浄化する姿を/ホロウ・シカエルボク
 
で何を見ている、見えないところで…深海魚たち、深海魚たち!退化した目で俺の網膜を見つめろ!俺の網膜にどんなものが焼き付いているが、そうと判るまで眺めるがいい、燃えるような薔薇の紅をお前たちは知らないだろう、俺がついさっきまで抱いていた、記憶!それが散るさまを見たやつはいるのか?下衆な唇で突いたりしなかっただろうな?もしもそんなことしたやつがいるんなら一匹残らず唇を剥いでやる…殺してやるぞ、侮辱にも等しいやり方で……水圧のノイズの中で俺は花弁の哀しみを忘れた、他に気にしなければならないことがたくさん出来たから……死、以外の罰など果たして有効なのか?慈悲があるから神は間違えてきたんじゃないのか…ああ、届かないもののことを考えていても仕方がない、俺の頭蓋骨は軋み続けている、ああ、あいつらの下衆な唇を…俺は泡を吐く、産卵の様に……浮かんでいるのか…?確かに産まれているのか……水底の闇は濃度を増した、俺にはもうなにも見えるものはない…






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