鮮やかな薔薇が浄化する姿を/ホロウ・シカエルボク
 






しおれ落ちかけたまま凍てついた薔薇の花弁にお前の名前を書いて跡形もなくなるまで深く愛そう、それは留まった生でもあり早まった死のようにも見える、街灯の様に頭をもたげて…リノリュームに視線を落としている花弁、窓からの弱い月灯りが壁に映した影は声もなく泣いているみたいに見えた…すでに死んだ愛、お前の零度の側のぬくもりを愛そう、俺はアルコールに脳をやられながらソファーの上で深海を見る、花弁を垂れて凍てついたお前を連れてゆく…光の当たらない暗い暗い海の底へ…イソギンチャクがお前の懐から落ちた最初の夜の想い出を不味そうに啜っている、深海の圧力は頭蓋骨を軋ませる、哀しみに化けることがない
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