卵を追う/カンチェルスキス
 





 恋で埋める空き地を
 日が差さないとぼくは文句を言った
 音楽が流れる川のないところで
 水浸しになるだろぼくは手紙を送った
 物語の中にいるこれは嘘ですぼくは日記に記した
 空気をつかみ離す空気をつかみ離す
 椅子に座る卵がつぶれる
 ふしぎな手はガラス細工
 海に近い草地の向こう走り去る赤毛の馬を
 ぼくは止められない止めなければいい
 ぼくは違うほうへ向き直る
 歩く死者の列が続き
 崖の下でケチャップみたいにつぶれてた
 それは家にいたときからずっと見てたんだけど


 ぼくの頭は取れて
 落ちる。      





 
戻る   Point(6)