待ち惚け/琥霙ふうり
校庭に伸びる影に背中を向けて
私の影は抜けていく
年老いた校門は歯をなくしてしまったのか
カラカラとは、もう聞こえない
(赤錆の、涙。手を這わす。記憶の跡、に。ほろ、り。)
見飽きたはず/の/いつもと同じ帰り道/なのに/迷子になってしまった
軒並みがひたすら続く
コンクリートを鳴らす音も
だんまりかえったまま
街灯だけがちかちか
夜を待ちわび過ぎて
呆けてしまっている
風が私を嫌って
まるで真空パックに閉じ込められたみたいに
簡単なはずの呼吸も思い出せない
(揺れながら、さまよう。手持ち無沙汰な、私。の、左手。)
どこ
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