知らない大人/小川 葉
ているのかな
いつかその赤ちゃんも
僕くらいの子供になるんだ
運転手さんはそう思って
僕にありがとうを
言ったのかもしれない
今、僕には
四歳の息子がいる
少し大きな
知らない子供を見ていると
息子もこんなふうになるのかなと
ふと立ち止まって
話しかけてみたくなる時がある
知らない大人に
子供みたいな一面を見つけたなら
昔はこうだったんだろうな
と息子を見て
思い出してみたい時がある
僕はあの時
本当は
誰にも話してないけれど
将来バスの運転手さんになりたいと
心に決めていた
そんな子供でした
戻る 編 削 Point(6)