知らない大人/小川 葉
 
ているのかな

いつかその赤ちゃんも
僕くらいの子供になるんだ
運転手さんはそう思って
僕にありがとうを
言ったのかもしれない

今、僕には
四歳の息子がいる

少し大きな
知らない子供を見ていると
息子もこんなふうになるのかなと
ふと立ち止まって
話しかけてみたくなる時がある

知らない大人に
子供みたいな一面を見つけたなら
昔はこうだったんだろうな
と息子を見て
思い出してみたい時がある

僕はあの時
本当は
誰にも話してないけれど
将来バスの運転手さんになりたいと
心に決めていた
そんな子供でした
 
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