水応/木立 悟
あたたかな骸
ころも脱ぎ去る
ひかり ひかり
拾うしぐさ
つぼみのように
水にふたつ
目と頬のはざまの歴史
ひとつの舌で掘り起こし
あなたは指の国境を消す
花を移る
一羽の影
みなもとの前をすぎる音
花 空 花 と空に着き
花はふたたび空を発ち
水に卵を描いては消す
倒れつづけるひかりの道
歩むものらのかけら かけら
高みへ高みへと流れ去る
緑の奥 ひとつの水紋
空を映したひかりの底に
ひとつの骸が沈んでいる
あたたかな気泡が指を揺らし
空を 花を
揺らしつづける
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