明日に/落とし子
 
あと何分かで
日付が変わるのに
君の顔が
思い出せない
うそだろって感じだよ
何しろ僕は人ごみの中
君を見失う事が
一度も無いような人間
だったんだ

覚えているだろうか
君は言った
夏の終わりと
秋の始まりみたいに
変わるなら
気付かれないうちに変わりたいって
なぜあんな事を言ってしまったのか
少しは反省して欲しいんだ

遠くの車のライトが
まるで狙ったように目に刺さる
僕は目を瞑る
煙草に火を点ける
それを回してみる
何をしても何を見ても
君と関連付けてしまいそうでこわい

明けない夜は無いだとか
あとは上がるだけだとか
気休めの言葉も色々だけど
全部嘘だと判明しました
有効な唯一の態度は
ただひたすらに耐える
それだけなんだ

目が覚めたら
朝食を食べる事にしよう
そのぐらいはいいだろう

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