灰皿/小川 葉
戦争が終わらない
真夜中は
戦争を始めるため
回避するため
会議室で行われている
夜更け
戦争のための戦争は
繁華街に移行され
朝まで続く
眠らない街に
灰になって積もってゆく
お刺身の盛り合わせも
焼き鳥の盛り合わせも
とにかく盛り合わせでなければならない
男たちはいかなる時も
見栄っ張りに傲慢に
時には無責任に
意見を述べなければならなかった
自分以外しか
守るものがないような素振りで
お刺身の醤油皿に
間違えたふりして煙草の灰を落とした
ことさえも策略かもしれない
生で殺されたり
焼かれて殺されたり
みんな死んでしま
[次のページ]
戻る 編 削 Point(6)