灰の雨降る公園で/木屋 亞万
雷が鳴る
雨脚は強くなる
灰色は濃くなる
冷たい、が黒ではない
灰色だ
何を見ても灰色
最近に見たものは灰色だ
すべて、なにもかも
聞いたものも
食べたものも
ぶつかったものも
話しかけたものも
風景も人も精液もミドリムシも
ありとあらゆるものが灰色
薄く、無味で、無意味
鬱血した鬱屈の鬱積
こんにゃくコンクリート胡麻豆腐
透けず、染まらず、輝かず、灰色
バケツが一生分ひっくり返ったくらいの雨
まもなく二章に突入する雨
水の粒は苺よりも大きくて灰色
最近の若者の笑顔は灰色なんです、と
泥まみれ水浸しの私は言う
老人は答える
うれしいときだけでなく
悲しいときも
空虚なときにも人は笑う
空き箱が鳴るように
鈴の音が響くように
道理で最近の若者は引力に弱いわけだ
と、彼は一人で納得して笑った
皺がひび割れるように顔を崩し
黒い笑顔がこぼれ出た
灰色の川が濡らすベンチに腰掛け
仰いだ空には月の灰
そういえば夜空は暗い黒い闇
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