二千九年、LOVE/捨て彦
 
み干す。女連中がオー、と歓声を上げ拍手喝采を送る。伊藤もアッ、と云い一寸対抗心が芽生えGlassに力が入ッたのだが、矢ッ張り思い直してGlassの淵を遠慮がちに舐めてみる。と、「私のですね、」と小山が乗り出し話題を変えた。
「私の、会社から直ぐ近くに、太極拳の教室が在るんですヨ、芙蓉さんと知り合ッた。其の教室から少し東に行くとJRの高架下にぶつかりまス。其の高架下の中に御飯を食べるところがあるんですよネ。其処がとても変わッていて、元元は倉庫だッたと思うんですケド入り口からは想像も付かない程店内が広くて、其処には円Tableが乱雑に配置されていて壁沿いに昔の米国コメディアンのポスタアが貼られていて
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