回覧車?/ブライアン
 
度もあの電光の時計は4:51、を示した。けれど、1999年の夏の日、ノストラダムスの大予言は当たっていたとしたら。既に世界が滅んでしまった後だとしたら。みなとみらいの示す4:51、はかつての4:51、とは大分違うものだろう。
 きっとそうだ。彼女がシャッターを押したとき、既に世界は滅んでしまっていたのだ。けれど誰も気がつかない。無限のなかに4:51、は放置され続けている。

 上京して2年目、彼女と一緒に行ったみなとみらいは、世界滅亡のモニュメントではなかった。海の湿った匂いにさらされながら、みなとみらいの観覧車は時を刻んでいた。ゴンドラに乗る人々の視線は届かない。海から流れてくる風に、世界が滅亡した証拠を探し出すことは出来なかった。4:51、と示されたモノクロ写真だけが、世界滅亡の証拠だった。

 
戻る   Point(2)