意識の手紙/小川 葉
 
 
まだ顔を知らない
姉からの手紙が届く
意識だけの

わたしはまだ
返事が書けない
体を持たないから

真夜中
母に触れたがる
父を感じる
わたしの命のはじまり

いくつもの
繰り返されるままの
送るままの
受け取るままの
たくさんの手紙と手紙

体に添えて
送った人に宛てた手紙も
焼かれて灰になった

人に読まれることなく
繰り返され
意識しか残らない
残された人の記憶として

今日も手紙は届く
わたし宛てに
あなた宛てに
 
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