葉/北星三天
 






見も知らぬ
濃い緑の葉を拾った

落ち葉では
あったが

少し表面が艶を残し
生きてきた軌跡を
浮き彫りにしていた


その人の言葉は
繰り返し響いた


見も知らぬ
人の景色が響いた


その前も

そののちも

その木を見ることは
僕には
決してなかった








帰りついた部屋
いつものテレビ
いつも通り
売れ筋の歌を
順番よく並べてくれた








でも僕は




まだ





生きてきた軌跡を
少し反射する



濃い緑の葉の表面に



そっと触れていたいと思った






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