シンメトリー/千月 話子
言う
左足に重力は無いのに 理性が水に沈む
それでも僕は 向こう岸の君に会いたかったから
時間短縮に失敗してしまった バランスの悪い掌に
静かに息を吹きかけながら 真っ直ぐに進んで行くよ
連絡無しに 出会った僕を見て
君は 泣くのかな?笑うのかな?
湖の最終地点にて
波紋など もう怖くない
君の手と僕の手が重なって 対になっていくから・・・
遠い雨が やって来て
幸福のスカラベ(黄金虫)で凪を磨く
上下左右の水鏡 渡るなら今
君の許へ・・・・・・・
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