a glass of wine/邦秋
ふたりのバッグを運んだ男が微笑の顔で部屋を出る
分厚い扉を閉ざした 鍵を確かめる ふたりは近づく
辛い2月の寒さも 互いにあたためあうから
ふたりが手にしたグラスに注がれるワイン黙って見ている
瞳(ひとみ)から言葉を感じる だから瞳(め)で返す わかりあえてる
触れた冷ややかな唇 すぐにふたりは何の言葉も交わさず抱き合った
誰にも見せない表情(かお)を僕は見ていた
夢中でたったひとりを愛しつづけた
このひとときのために ふたりは生まれた
何も語らないで テーブルのa glass of wine
この部屋をでる時間(とき)まで 一言も...
言葉を無
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