瑞々しい嘘/木屋 亞万
 
に冷蔵庫は冷たい
野菜室は狭い、空気も悪い
何のためにそこに入れられるのか、知るものはいない
誰も彼も自分のことだけ、わからない



花が咲いたら
花びらが知覚されたら、美しさはそこになかったと、誰もが思う
匂いで誤魔化しても、色で錯覚させても、すぐに気付かれる
どんなに新鮮な嘘でも、それは偽りである、虚ろなのだ

蕾の
あるいは芽の
誰にも見られていない
まだ花でない花が身を寄せ合う中に、美しさは込められる
未来、あるいは期待、想像、希望、予感、それが美しさである


花瓶、フォーク、野菜炒め

戦争は、頭から咲いた途端に、嘘に、なる

君が死んだらその先は、すべて偽りである
そう思ってもらって構わない

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