凪/青色銀河団
 
みえない身体のなかで
手が縮こまる
青く染まった
泥の歴史を反芻しながら
鳶色に滴る見える手は 
(見えない手は)
(見えない何本もの手は)
みずからを固くだきしめて
ひびわれた胡桃の季節が終わります

黒い袖口で隠したまっ黒な胸の
わたしはみえない立ち姿で
いったい何を守ろうとしてきたのでしょう
釣り針のように垂れた
わたしの子供は
くずれおちる包帯に
なってしまったというのに

なめらかな毒に
やさしく接吻する母
目をそらしつづけた
わたしの黒い胸の中心に
泡とともに静かに
潮が溢れはじめます


一枚の海が咲いた
都会の梢には
子供の魂がとても
静かです


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