哀歌輪唱/北街かな
 
わかれ ちぎれる 雲間を
縫いとじてゆく聖歌の雨だ
みんなして一斉に生誕をやりなおす
後ろ向きな朝が明けた

ルリラウラ ウルトゥルル
産声が湿り積乱し 大空をくるんで遮ってゆく
きっと何十年後かには、人に愛されていればいいよね?
願う限りの情熱で唯一を求めるには
受け身がすぎてしまったみたい
もらい泣きはもうたくさん

安直な答え合わせと 軽妙な辻褄合わせと
浅薄な激励の数々を
かつて生まれて間もなかった少女は
どっさり背負ってホームを発つよ
高く声をあげ 迫る不安を牽制し 遠くを見つめて逃避の歌を
ラリルララン ルールールー 今よりも少しくらいは
幸福になれ
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