鉄夜/木立 悟
白の崖 白の椅子
海へ突き出る
骨
耐えられなくなり
あなたの手を取り
月と曇を無理矢理見せる
蒼のなかににじむ灰
丘を昇る星の群れ
言葉は有限 空の手前
とどめに光る木々のひと声
街が燃えてしまったあとに
水源地から起ち上がる羽
緑のふちどり
遠いふたつの涙をつなぐ
何かを編みかけたまま止まる針
火口のような口蓋から来る
炎なく岩を灼き尽くす文字
新たな水へ変わりゆく文字
蒸気の夜 光は固まる
月と曇に
流れ込む海
虚の路に立つうしろ姿
名前はすぐにもたらされる
溶けた鉄の野に降りおりる
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