冬を見送る子/
昏(ヤッカ)
とうとう雲雀がやって来て
春の幕を落としていった。
雪の下からのぞいた蕗は
眩しそうに太陽を見上げた。
早起きの蛙は
仄かに色づいた風に見とれた。
ずっと待ってた木々も
それを知って
喜んだけど
小さな新芽は
冬を見送る人が
誰もいないのに気づいて
去っていく冬を
ずっと、じっと
見届けていた。
(みんな、始まっていけ)
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