アラベスク/みい
 

欠けていたり、満ちたり、
ぼんやりと
してたかった



わたしは泣くたんび、顔が変わり
まぶた、はれ、ぐにゃり、
形成されるあいだも
あなたの だんだんと一人前になってゆく顔が
わたしはひどく 怖かった
わたしの少し、するどくなった顔を
あなたは少し、
きらった

アラベスク
それがたとえ、月並みでも
祈ったのです

たしかに、
わたしも あなたも それぞれ
飲み干せる
ように

わたしの指 ひどく走って
鍵盤からもれる、膨大な呼吸を
わたしは
汲んで、
まぶた、はれ、ぐにゃり
いつのまに
月も
みえないの

人さし指の音が
どろん と
聞こえる

アラベスク








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