ヒステリカル-ロジック-02【パラダイス・マシンの電池】/北街かな
 
空に最も近いセラミックス・ビルディングが傾げたのは
数百年前のことだったでしょうか
後文明再開発機構の一環として補修工事も施工されたのに
当然のごとく頓挫して
それが何十年前のことだったのでしょうか
ゆっくり崩れてゆく王冠状の頭頂部から
大量の鳥がこぼれて、
山脈の向こうに羽ばたいてゆきます

それは視界を覆うほどの群れでして
鳥のかたまりの奥では、虹色電燈が何百万個も爆発し
見上げる私の手首までもじりじり熱く、焼けるようです

ビルディングの中には
楽園のための正しい電池が嵌められていて
それらは決して天地を逆にすることはありませんでした
外壁と構造の破片がばらば
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