空色/北街かな
 


まるで一度滅びたみたいな
荒む諦念のはびこる都会で
恋の歌でも鼻でそらんじては
自嘲を吐き捨てて
幸福の鳩の群れと枯葉剤をまき散らし
僕は記憶喪失のフリをする

悲しみの空が 黒く しだいに青く
透き通りながら 僕らの杞憂をのみこんでゆく

なにがそんなに悲しいの なにがそんなに気に食わないの
どうして君は寂しそうなの これから一体どこへ向かうの

斜めになりながら路面に横たわる
針先みたいな君らの影は
文化文明の栄光と躍進を逆側から貫いてみせようと
鋭利になりながら
しだいに疲れて痩せ細ってく

あの夕暮れの日
校庭に埋めたカプセルを
宇宙一の時限爆弾に変えてみせるよ
君が花畑の真ん中で息絶えたその日には
きっと世界は変わっているさ

握りしめた拳には汗と怠惰と少しの自負
どうしよもない自己嫌悪
僕が僕なことだけは
どうしたって捨てれやしないから

かなしみの空が 濃く しだいに薄く
風に滲みながら 明日の希望を影送りしていく
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