修羅を読む(2)/Giton
 
七つ森 水の中より明るくて
ぽしやぽしやしづむ膠質(ゼル)のかなたに

    ☆

パリパリの朝の小枝にぶらさがる
硝子のわかもの そら透きとほす

    ☆


蒼海の
雲はリチウムの焔あげ
褐藻原に苦扁桃匂ふ

    ☆

あを暗き天頂遠く
伸び上がる鱗木の森
そら荒(す)さみ 人も雲雀も
異世界の地平線へと
吸ひこまれ行く

(反歌)
瑠璃色のつめたい板に はさまれて
ふるへる雲雀 かあいさうです

    ☆

指赤き貧しき子らに
現れし詩の氷神は
恥ぢて消えるのみ

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