千鳥格子/jin
 
高架線に区切られた太陽が
古道具屋のトタン屋根に呑み込まれていく
重くぬるい風がカーテンを膨らませ
窓辺の花器が虹彩を放つ時、

頭の奥で火薬がちりちりし始めて
数秒後に我が身が消滅するのを待つ心境で
日清キャノーラ油のCMを見ていた
アパートのドアは開けっ放し
遠ざかるツッカケの音に振り向きもしない

紐を引いたら舌を出す唐人形が
違い棚の高い位置から部屋を見下ろしている
くの字になって粉々の蕎麦殻枕をいだき
ちゃぶ台の裏側を足先でくすぐり続ける主
消滅どころか独りきりで生きている

腹が減ったと気分を損ねても
怒る相手が出ていった
芋ようかんに紅茶を出され
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