朝の砂時計/楽恵
すやすやと小さな音をたてながら
蜂の腰の形をした小さな管に
砂粒を落下させる様子を見守ってきた
時計の天と地を休まず創造して
やがて流砂が飛んでくる
僕の足もとが
ずんずん砂に埋もれていく
乾いた風に波紋がいくつも広がる
くりかえし
くりかえし
くりかえし
今朝も僕は君の枕元に立つ
もう膝まで砂に埋もれてしまって
夜の季節を眠る君をみおろし
君のまぶたが開かれるのを待っている
鉱山のように重い君のまぶたが
手のひらの砂漠を目覚めさせる日を
硝子のなかのホワイトホールから
砂がさららと落下する音を聴きながら
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