アース・ティアー/マッドビースト
遠くで
閉じられたままの
あおい
まぶた
その方角から
滾滾と
海はわいている
波はよせている
まぶたが僕に見せようとしない
その向こうの景色は
別の国の海岸の
豪雨に耐える灰色の街だろうか
嵐の中で沈みそうな
銀色の客船だろうか
それならいいけど
砂浜を走り回る
こどもの笑い声
はじめて海を見る
こどもの泣き声が
透明に満ちている
僕のこどものころの記憶では
あの伏せられたままのまぶたと同じ
寄せる涙もまた
あおかったのに
今日は
緑っぽくて茶色っぽくて
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