波の行方/
高橋魚
過ぎ去った私は波となって
ジーンズを染める
そのジーンズの膝の辺り、裂けて、
そこには
空白が存在する
針と糸などでは決して埋まることの無い空白
大勢の波達は
誰かによって遠くへ連れ去られてしまう
今、この瞬間も、次々と、どこかへ、
仮死状態の
多くの私たちは
いつか砂浜へ戻り
空白を埋めてくれるのだろうか
戻る
編
削
Point
(1)