波の行方/高橋魚
 
過ぎ去った私は波となって
ジーンズを染める

そのジーンズの膝の辺り、裂けて、
そこには
空白が存在する

針と糸などでは決して埋まることの無い空白

大勢の波達は
誰かによって遠くへ連れ去られてしまう
今、この瞬間も、次々と、どこかへ、

仮死状態の
多くの私たちは
いつか砂浜へ戻り
空白を埋めてくれるのだろうか
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