失ったもの/琥霙ふうり
 
 
ぐらんぐら、らん
昔作り上げた願望は
粗大ゴミとなった
 
焼却炉へ
おもむろに葬られ
弔いも、なく
ぱ、ら、ぱら、
黒煙と化していく
 
空へ立ち上りながら
昭和を醸し出す
あの、
夕焼け空は息を潜め
 
 
懐かしむ
取り壊された廃墟から
焦げ付いたスケッチブック
 
俺が
日記代わりにしてた
ものだと気付くのに
一月も掛かってしまった
 
 
ほら、
この手は萎びてく
どうしようもなく
どうする訳でも、なく
 
 
 泣いている、
 
 
ただ、それだけの事
 
 
今日も、また
つまらぬ理由で
ゴミを捨てにいく。
 
 

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