冷え性/たもつ
 
 
 
掌で階段を育てた
せっかく育てているのだから上ろうとすると
いつもそれは下り階段になってしまって
悲しい人のように下の方を見ていた
その隣を弟は快活に上っていって
一番上まで行くと私に向かって大きく手を降った
掌に階段があったので
手を振り返すことはできなかったけれど
笑顔で返すことはもっと苦手だった
それでも弟は冷え性で冷たい私の指先を取り
温かい、と言ってくれた
近所に小さな戦場があって
毎日砲撃の音が聞こえた
耳で手を塞ごうとしたけれど
掌に階段があったので
やっぱり塞ぐことはできなかった
弟は時々戦場に遊びに行っては
戦利品、と称して
焼け焦
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